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今ゴスペル教室が熱い!

もともとはキリスト教徒が神を讃える歌として発展してきたゴスペル。現在も宗教的な意味合いを残しつつ、日本では心のさけびをソウルフルに歌い上げるスタイルとして定着しています。音楽教室でゴスペルに触れることのメリットとはどのような点にあるのでしょうか。歴史的な背景を振り返りつつ、日本独自に発展してきた経緯についてもまとめました。皆さんもこれを参考にして、音楽教室でゴスペルを楽しんでください。


ゴスペルって何?

17世紀、アフリカ大陸から強制的に米国に奴隷として移住させられたアフリカ人は、人間として扱われることなく絶望的な状況下で働いていました。その後、黒人の奴隷たちは聖書を通じて互いに連帯し、主人の目をかいくぐるようにオリジナルの歌を歌い、踊り、祈りました。その中で生まれたのが現在のゴスペルにつながる「スピリチュアリズム」といわれています。彼らは神を信じて、友人たちと共に歌い、悲劇的な状況に耐えました。1910年代から20年代には、ブルースとジャズが黎明期をむかえ、アメリカのブラックミュージックの時代が始まります。

ゴスペルは1930年代から40年代にかけて黄金期に突入し、1960年代に本格化した市民権運動の流れを汲んで卑劣な人種差別に反対し、反体制の象徴として浸透していきます。その後、ゴスペルのCDがリリースされ、あるいはコンサートが開かれるなど時代が変わっていくなかで、とうとうゴスペルが全国的なヒットチャートのトップに躍り出る時代がおとずれました。また、日本でも讃美歌のような歌詞をR&Bやヒップホップのリズムで歌うポップスが流行したりと、ブラックミュージックを垣根なく受け入れる土壌はすでにととのいつつあります。

マイノリティのレクイエムとして発展してきただけあって歌詞のひとつひとつにエネルギーと鋭さがあり、聴く人を否応なしにその世界に引き込んでしまう不思議なパワーがあります。まずはメロディのパワフルさに圧倒され、歌詞に込められた意味に歴史の重さを知り、そしてブラックミュージックが背負ってきた音楽的な使命を理解する。ゴスペルとはこのように多面的な音楽であり、短期間では理解しきれないところに独特の魅力があるのです。


ゴスペルの魅力とは?

ゴスペルの魅力は第一に、そのパワフルさにあります。一度でも教会のミサなどに参加した人であればおわかりになるかと思いますが、本音を包み隠さずにメロディとリズムに乗せて歌い上げるのがブラックミュージックのスタイルであり、醍醐味でもあります。歌詞の意味がわからなくても、アップテンポな曲調といきいきとした表情を見ているだけで自然と気分が高揚し、普段は心の奥底にしまい込んでいる本音を思いきりぶつけることができます。「ストレス解消になる」とよく言われるのは、ブラックミュージックがもつ開放感に起因しているのかもしれません。

日本ではアップテンポな音楽として伝わったブラックミュージック。しかしながら、その背景にある厳粛さを忘れてはいけません。ゴスペルの根底にあるのは、神への敬意です。自分を人間としてこの世に落としてくれた唯一無二の神に感謝しつつ、人間らしい権利を剥奪する社会の理不尽に闘いを挑んでいく。彼らにとって音楽は武器であり、かけがえのないアイデンティティなのです。そうした背景に目をむけることなく、ブラックミュージックをただ単に「カッコいいもの」としてとらえてしまうと、そのジャンルが本質的に背負っている歴史的な意味を無視することになり、それはひいてはブラックミュージックへの冒涜につながります。

さらに派生した音楽としては、ラップやヒップホップがあります。ラップはメロディという概念をあえてくずし、独創的なリズムによって差別への不満や憤りを訴える文化として、ヒップホップはファッション性とダンス要素をより強化し、娯楽性を高めたジャンルとしてそれぞれ進化してきました。純粋に音楽を楽しむことも大切ですが、時には背景となる歴史に目をむけ、そのジャンルがどのような道筋をたどってきたか、ということを理解することもまた、テクニックを磨くこと以上に意味のあるプロセスなのです。


大人の音楽教室で行うゴスペル教室の内容

実技中心のカリキュラムで歌うことの楽しさにポイントを置く教室から、最初の段階で歴史的背景をじっくりレクチャーする教室まで、ゴスペル教室のスタイルはさまざまです。一般的に、音楽教室に通おうと思っている人はパワフルな歌声に惹かれて入会する人が多いでしょうから、ビギナーのうちはできるかぎり歌う機会を増やし、ゴスペルの雰囲気に生でふれることを優先したほうが長いスパンでのモチベーションにつながります。オーソドックスな歌唱スタイルを身につけたうえで歴史的背景をさかのぼり、どのようなルーツからここまで発展してきたのかを学べば、理論と実践をバランスよく両立させることができます。

もちろん、複雑な背景はいったん脇において、パワフルな歌声を純粋に楽しみたい人も音楽教室では大歓迎です。本場さながらにゴスペルを歌いあげるためにはまず、腹筋などの基礎的な筋力をきたえることが大切です。本格的な音楽教室では、実際の歌唱レッスンに入る前に筋肉の鍛え方についてレクチャーするところもあり、パワフルボイスを手に入れるためのプロレベルの発声法を習得させるところもあります。ブラックミュージックが日本に浸透した背景には、マイノリティが潜在的に抱える生きづらさがあり、普段は表に出せない抑圧された本音を歌によって思う存分ぶつけたい、という人が増えてきたとも言えます。

もともと本音をはっきりと言い表すことが苦手な日本人にとって、軽快なメロディに乗せて心のさけびをぶつけるブラックミュージックは本質的に共鳴するものがあり、ちょっとした息抜きとしても受け入れやすかったのではないでしょうか。開放的な気分になることで仲間づくりもしやすくなり、ますます教室に通いやすくなるという隠れた効果もあるようです。


まとめ

もともとは教会で歌われていたゴスペルは、やがて人種差別と立ち向かうための武器となり、ブラックミュージックというかたちで世界各地に受け入れられました。音楽教室で学ぶ際にはぜひ、ブラックミュージックのルーツや歴史的背景に触れ、黒人たちが歩んできた道筋に思いをはせてください。