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大人になってからはじめる和楽器の魅力

日本古来の伝統を引き継ぐ和楽器には、西洋楽器には決して出すことのできない奥深い音色とハーモニーがあります。和楽器のみで奏でられるメロディは拡張高い趣があり、あらたまった儀式にふさわしい荘厳さがあります。果たして、和楽器はどのような道筋で発展してきたのでしょうか。歴史的なルーツから代表的な楽器の種類、西洋楽器との融合など、大人になってから知りたい和楽器のルーツについて御紹介します。


洋楽器にはない、和楽器の魅力とは

日本の楽器は神仏に敬意を払い、非常に敏感な音色変化を追求します。たとえば三味線は非常に繊細な和楽器で、その日の天候や器機の状態、歌の雰囲気、重さのような本当に繊細な違いによって、音色そのものが大きく変わっています。バイオリンの弓が機能的に改良されたのとは異なり、三味線の場合は数値化できない部分にこそ真の音楽があると考え、あえて無駄を省かない方向に進化してきました。和楽器では雑音のなかにも美しさが認められ、音色にも意図的に雑音に近い要素が組み込まれているという大きな特徴があります。この違いは顕著であり、近隣の中国語や韓国語の音楽と比較しても、和楽器はノイズをふくめてひとつのハーモニーとする傾向があります。

西洋楽器と比較した場合、日本の楽器はそのひとつひとつを見れば音色はそれほど大きくはありません。西洋の音楽様式では、コンサートホールのような大きな空間で演奏を行う機会が多く、音色の繊細さ、演奏のしやすさ、楽器自体の感触などの要素を多少犠牲にしても迫力のほうを優先する必要があったのです。一方、日本の楽器では、西洋のようにコンサートホールでの演奏は少なく、宮廷などの比較的せまい空間で音色を楽しむ風習があったため、音量よりもハーモニーの美しさが優先されたのかもしれません。

しかしながら、祭りのために屋外で演奏される楽器に関しては迫力ある音量が出せるように時代とともに改良されてきました。日本はもともと、「シンプルなものにこそ美しさがある」と考えており、和楽器にも神仏にもとづく日本の古代の美意識や思想が反映されていると言えます。伝統的な日本の歌や日本の感性に合った、より繊細な音を作り出すことができる楽器として和楽器は進化してきたのです。大人の音楽教室でも、和風の音楽様式について専門的に学べるカリキュラムを用意しています。


和楽器にはどんな種類があるの?

代表的な日本の楽器の種類については義務教育でも教わりますが、すべての種類を網羅しているわけではありません。有名なところでは尺八、三味線、和太鼓あたりがすぐに思い浮かぶと思われますが、美しいハーモニーをもつ和楽器はこのほかにもたくさんあります。日本でも西洋と同じように楽器を弦楽器、打楽器、管楽器などという風に分類しており、それぞれに独自の進化を遂げてきました。弦楽器の代表は琵琶や琴ですね。琵琶は「琵琶法師」などの伝説にも描かれていますし、琴のほうも明治大正の有名な純文学にモチーフとして取り入れられています。繊細にして緻密につくりあげられた最上級の琴の音色は日本の楽器にふさわしい奥ゆかしさがあり、聴いているだけで厳粛な気分にさせられます。

打楽器でわかりやすいのが和太鼓ではないでしょうか。古くは戦の合図にも用いられたと言われる歴史ある和太鼓。力を込めてたたくだけ、という一見すると単純な演奏法にも思えますが、実は特別なテクニックと筋力を必要とする楽器であり、一人前の打楽器奏者になるためには最低でも10年の厳しい修行が課せられるのだそうです。和太鼓の命ともいえる皮はその日の気温や湿度によって微妙に硬さを変え、それに応じて音色も変化するという繊細さをもっています。夏の風物詩である風鈴も和楽器の一種です。日常よく使う言葉のなかには、楽器から転じたものが少なくありません。

たとえば、「打ち合わせ」という言葉は、現在は会議や相談のような意味で使われていますが、もともとは雅楽の演奏前にそれぞれの楽器の音色のトーンを合わせる作業を意味していたと言われています。「打てば響く」という表現は和太鼓からきていますし、「呂律がまわらない」という言葉はなかなかトーンの合わない楽器のことを指す言いまわしであったと伝えられています。雅楽というとどうしても現代の日本には縁遠いもののように感じてしまうかもしれませんが、世界に誇るべき伝統文化であり、そのエッセンスは日常語にもさりげなく受け継がれています。


初心者なら、こんな和楽器がおすすめ!

大人の音楽教室初心者が和楽器と聞いてすぐに思いつくのは、三味線や和太鼓、琴、尺八あたりではないでしょうか。三味線は構造的にはギターに似ていることから、弦楽器に少しでも振れたことがある人であれば短期間で一定レベルまで上達することができ、アマチュアの趣味としても安定した人気があります。和太鼓は激しく打ち鳴らす姿がいかにも勇壮で、お祭りなどでも見かける機会があるためなじみの深い和楽器として定着しているようです。琴は繊細な音色が特徴で、有名な文学作品でも主題として扱われていることから、格調高い日本の楽器として現代でも愛用されています。

これから習い事をはじめようと考えているのならやはり、できるかぎり王道から入ったほうがつづけやすいかもしれません。三味線や尺八などは生涯学習人口も多く、全国各地で教室が開かれているので選択肢が多いというメリットがあります。同じ弦楽器でも実は細かい派生種に分かれており、たとえば三味線は南に行けば三線、北へ行けば津軽三味線という風に、それぞれの土地に合わせて独自に進化しています。とくに津軽三味線は若手アーティストがこぞって楽曲に取り入れた影響で愛好者が一気に増え、現在も人気のある習い事となっているようです。楽器を習うにあたり選択肢を考えた場合、どちらかと言えば西洋楽器を思い浮かべることが多く、和楽器はやや敷居が高いと感じる人もいるようです。その大きな理由として、「よく知らない」ということが挙げられるのではないでしょうか。

日本古来の楽器は西洋楽器に比べて日常で目にする機会が少なく、意識して探さなければ一生手に触れることのない人も少なくありません。自分が知らない世界を敷居が高いと感じてしまうのはある意味で当たり前の話で、習うのにお金がかかりそう、というイメージも結局はそこが源流となっています。まずは、知ってください。日本の楽器についてほんの少しでも意識的に知る機会をつくればさらに深い知識を得たいと思うようになり、いつしか演奏そのものが楽しくなってくるはずです。


まとめ

音色やハーモニーがわかりやすい西洋楽器と比較すると、日本の楽器はいささか複雑でとっつきにくく感じられるかもしれません。しかしながら、三味線や尺八なども突き詰めれば西洋楽器と同じ源流から発展してきたひとつの文化であり、知れば知るほど奥が深いエンターテイメントでもあります。和楽器について深く知ることは日本の歴史そのものを理解することであり、西洋楽器との違いを本質的に考えることは、音楽全体のルーツにまで思いをはせることにもなります。