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大人の音楽教室に入会する前に知っておきたい、演奏権の話

音楽教室に通う初心者が見落としがちなのが演奏権の問題です。演奏権とは著作権の一部に含まれる概念であり、楽曲をつくった人の知的財産権を守るために定められています。大人の音楽教室ではどのような行為が合法で、どのような行為が違法と見なされるのでしょうか。演奏権を不当に侵した場合、数百万円単位の罰金が科せられるケースがあるため、レッスンを本格的にはじめる前から正しい知識を身につけておきましょう。


演奏権とは何か?

演奏権とは日本国内の著作権法のなかで規定されているもので、すでに公表されている音楽的な著作物について、「誰がどのような場所で演奏して良いのか」を権利として明文化したものです。著作権法においては、公に発表されたすべての著作物の上演権および改変権は著作者に帰属される、とされています。つまり、これを簡単な言葉に直すと、いかなる場合であれ公表された作品はそれを創作した本人以外には公で演奏したり、改変をくわえることが許されないということになります。したがって、たとえ音楽教室であってもJポップなどの楽曲を著作者に無断で上演および演奏することは違法行為となります。ただし、著作権法においては例外規定として、「非営利の活動であれば原則として免除される」と定められています。たとえば、ボランティアサークルなどの催しでバンド演奏をするような場合、それが無料の演奏であって、なおかつ演奏者に報酬が支払われていないようなケースでは著作者に権利料を支払わずとも違法にはなりません。音楽教室でもカリキュラムの一環として有名な楽曲を上演する機会が多いと思いますが、それが完全に無料のものであるならば使用料を支払わずに自由に上演を行うことができるとされています。こうした細かい例外規定がもうけられているのは、著作権者の財産権を担保すると同時に、個人レベルで自由闊達に音楽活動を楽しめる環境をととのえるためであると考えられており、その趣旨に沿って言えば、音楽教室でお気に入りの楽曲を上演することはそれが非営利の活動であるかぎりは何ら問題がないと判断することができます。なお、著作権法によって守られている場合でも、一定の使用料を著作者に支払うことで上演が許可され、違法行為にはなりません。 


大人の音楽教室において問題となる演奏権違反とは?

著作権法において演奏権の侵害と見なされるのは、「著作権者に無断で、不特定多数の民衆に有料の演奏を提供する」行為です。言い換えれば、人数がかぎられている空間において料金を徴収せずに演奏を披露する行為は問題とはならず、罰則が科せられることもありません。音楽教室のケースにあてはめれば、レッスンの一環として無料の発表会などを開く場合はとくに使用料を支払う必要はなく、自由に演奏を披露することができます。ただし、教室外部の人にまで対象を広げ、なおかつ演奏を聴くための代金を設定しているような場合は営利行為と見なされ、著作権法に触れる可能性が出てきます。また、無報酬であるかどうかも重要なポイントで、演奏者側に交通費以上の金品が支給されるのであればそれもやはり営利目的の音楽活動であると見なされ、楽曲の使用料が発生します。なお、著作権料はその都度著作者に直接支払うのではなく、日本国内の著作物を一元的に管理している団体に対し間接的におさめることになります。著作権料を支払ったからといって無条件で演奏が許可されるわけではなく、最終的に著作権者が了承しなければ無断で使用したのと同じことになってしまいます。使用許諾というと煩わしく感じられるかもしれませんが、音楽という大切な文化を守るためのプロセスですので、きちんと手順を踏んだうえで気持ちよく演奏を披露しましょう。著作権法の保護対象となるのは楽曲ばかりではありません。演劇の脚本や映画、テレビドラマなどもそれが完成し公表された時点でひとつの著作物となり、諸々の権利が発生します。知らず知らずのうちに著作権を侵してしまうことのないように、日頃から法的知識を仕入れておきましょう。


結局、著作権のある曲を音楽教室で演奏しても大丈夫なのか

音楽教室の演奏は基本的に無料で行われることが多く、また、「演奏技術の向上」という目的もあるため、ほとんどの場合は著作権法上の規定に引っかからないとされています。ただ、教室で組んだバンドでどこかの会場を借り、数十人規模のリサイタルを開くようなケースではたとえ無料であっても著作者の許諾が必要となることがありますので、そのあたりは教室のスタッフに確認しておくと良いでしょう。日本国内においては昔から、海外諸国と比べて著作権規定が曖昧であると言われてきました。

そのため、小劇場の演劇などで有名な歌謡曲の替え歌がゲリラ的に披露されたり、路上で活動するミュージシャンがそもそも著作権の規定について知らなかったりと、著作者側から見れば自分の権利が無視されていると感じられる場面が多くありました。しかしながら、あえて規定を細かくもうけないことによって教育現場などでも広く音楽に親しむことができ、音楽文化発展のひとつの要因となってきたことも否定できません。たとえば、民間の非営利団体での音楽活動を著作権侵害と見なしてしまうと、楽曲を使用するたびに高額な著作権料が発生し、文化にふれることのさまたげになってしまいます。そのような理由から日本ではこれまで個人レベルでの著作権使用についてはある程度肝要な施策をとってきましたが、ここ数年はグローバル化の流れもあり、少しずつ規定強化の方向に舵を切ろうとしています。

なかでも大きな問題となっているのは、教育現場での楽曲使用です、現行の法律では、教育および学術目的による楽曲使用については無条件で許諾するとされてきましたが、改正法によって著作権料の支払いを義務付けようという動きが広がっています。このような流れの中で、将来的に規定がさらに強化され、音楽教室での無料演奏についても著作権侵害と見なされる日がくるかもしれません。


まとめ

日本の著作権規定はまだまだ発展途上だと言われています。しかしその背景には、音楽文化をゲリラ的な要素から発展させてきたという側面があり、それによってこの国の音楽文化が進歩してきたこともまた事実です。世界的な権利意識の拡充の流れの中で、日本の著作権法が今後どのように変わっていくのか。大人の音楽教室に通っている人もこれから通おうと考えている人もぜひ注目しておきましょう。